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食物繊維と健康の関係は、どこまで分かっている?

WHOの根拠表と日本の追跡研究から、食物繊維と健康の関係を整理。長期の関連と短期試験の結果を分けて読みます。

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この記事の要点

C限定的
ここまで言える

食品由来の食物繊維を多く摂る群では死亡や一部の疾病が少ない関連が報告され、短期試験では体重など一部の指標に小さな改善が見られます。

まだ言えない

食物繊維だけを増やせば病気や死亡を必ず防げる、どの食品源も同じ結果になる、食品とサプリメントが同等とは言えません。

評価の理由を読む

疾病・死亡に関する中心的な結果は前向き観察研究の関連で、食物繊維だけの因果効果は確定できません。短期のランダム化試験では体重・血圧・脂質などの指標を調べています。WHOは両方を評価し、成人の食品由来食物繊維25g以上を強く勧告しています。

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この記事の目次

食物繊維を多く摂る人ほど、死亡や一部の病気が少ない。複数の追跡研究で、そうした関連が報告されています。ただし、食物繊維だけを増やしたときに、将来の病気や死亡がどれだけ減るかを確かめた結果ではありません。1

世界保健機関(WHO)は、成人に食品に自然に含まれる食物繊維を1日25g以上摂るよう強く勧告しています。その判断には、長期間人を追った研究と、食事を変えた短期試験の両方が使われました。何が確かめられ、何がまだ分からないのかを分けて見ていきます。1

長期の病気と短期の指標、何が違う?

WHOの根拠表では、食物繊維を多く摂る群と少ない群を比べた前向き観察研究で、全死亡、心血管疾患、2型糖尿病、大腸がんなどが少ない関連が示されています。一方、ランダム化試験で調べられたのは、主に体重、血糖、LDLコレステロール、収縮期血圧などの指標です。1

食物繊維の摂取量が多い条件と少ない条件を比べた研究の読み分け。WHOの根拠表をAGEWELLが要約。疾病・死亡は観察研究での関連であり、試験の指標から長期の予防効果は計算できません。出典:[1] WHOガイドライン Table 2
研究の種類実際に分かったこと
長期の追跡研究摂取量が多い群では、全死亡や一部の疾病の発生が少ない関連。食事以外の違いが影響した可能性は残る。
ランダム化試験体重、LDLコレステロール、収縮期血圧などに小さな改善。疾病や死亡を長期間追った介入効果ではない。

「追跡研究で死亡が少ない」という結果と、「試験で血圧が下がった」という結果は、答えている問いが違います。二つをつないで「食物繊維を増やせば個人の死亡リスクが何%下がる」とは言えません。WHOも疾病・死亡との関連を主に観察研究で、短期の変化を試験で評価しています。1

日本人を追った研究では?

2020年のJPHC研究では、45〜74歳の92,924人の食事質問票から食物繊維摂取量を推定し、約16.8年追跡しました。追跡中の死亡は19,400人。摂取量が最も多い5分位と最も少ない5分位を比べると、全死亡の調整後ハザード比は男性0.77、女性0.82でした。2

これは生活習慣など複数の要因を統計的に調整した群間の関連です。「今から摂取量を増やせば死亡が23%または18%減る」という介入効果ではありません。食事を本人の回答から推定した誤差や、調整しきれない生活習慣の違いも残ります。2

食品源ごとに見ると、豆類・野菜・果物由来の食物繊維は全死亡の低さと関連しましたが、穀類由来では同じ傾向が明確ではありませんでした。この差の理由を、観察研究だけで食物繊維の種類の効果と決めることはできません。23

2011年の別のJPHC研究は86,387人を対象に、脳卒中と冠動脈疾患の発症を調べました。食物繊維の摂取量が多い群で循環器疾患が少ない関連は、女性と非喫煙者で主に見られました。男性全体と喫煙者には同じ結果が確認されていません。2020年の研究とは測った結果も違うため、一つの効果量にまとめてはいけません。45

WHOの「25g」は個人の境界線?

WHOの2023年ガイドラインは、成人に食品に自然に含まれる食物繊維を1日25g以上摂ることを強く勧告しています。根拠全体の確実性は「中程度」と評価され、25gという下限は主に観察研究で見られた摂取量と健康結果の関係から選ばれました。25gに達した瞬間に効果が生じる境界ではありません。1

勧告の対象は食品から自然に摂る食物繊維です。抽出・合成した食物繊維やサプリメントで同じ数値を満たせば同等の結果になる、という意味ではありません。日本の年齢・性別ごとの目標量と日々の食事への取り入れ方は、「食物繊維は1日何gが目安?」で整理しました。1

ここまでの資料が支持するのは、食物繊維を含む食品を多く摂る食事と良い健康結果との関連、および短期試験での一部指標の改善です。病気や死亡について、食物繊維だけの長期的な因果効果は確定していません。持病や食事制限がある場合は、集団向けの目安だけで食事方針を決めず、医療者に相談してください。1

LIMITATIONS

この情報の限界

  • 長期の疾病・死亡の結果は主に観察研究に基づき、食物繊維とともに変わる食習慣や生活習慣の影響を完全には除けません。
  • 短期の介入試験で測った体重・血圧・脂質の変化を、そのまま長期の発症・死亡の減少量に置き換えられません。
  • 日本の追跡研究は中高年を対象とし、摂取量を食事質問票から推定しました。食品源や性別・喫煙状況によって結果は一様ではありません。
SOURCES

参考資料

  1. Carbohydrate intake for adults and children: WHO guideline ↗World Health Organization · 2023
  2. Dietary fiber intake and total and cause-specific mortality: the Japan Public Health Center-based prospective study ↗The American Journal of Clinical Nutrition / PubMed · 2020 · DOI: 10.1093/ajcn/nqaa002
  3. 食物繊維摂取量と死亡リスクの関連-多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果- ↗国立がん研究センター · 2020
  4. Dietary fiber intake and risk of cardiovascular disease in the Japanese population: the Japan Public Health Center-based study cohort ↗European Journal of Clinical Nutrition / PubMed · 2011 · DOI: 10.1038/ejcn.2011.100
  5. 食物繊維摂取と循環器病発症リスクとの関係について ↗国立がん研究センター · 2011
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