食物繊維は1日何gが目安?
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「食物繊維は1日25g」と聞く一方、日本の目標量を見ると18gや22gと書かれています。どちらを目安にすればよいのでしょうか。
日本の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の目標量は年齢・性別によって1日17〜22g以上です。一方、世界保健機関(WHO)は成人に、食品に自然に含まれる食物繊維を1日25g以上摂ることを推奨しています。日本の値は「そこまで摂れば十分」という上限ではありません。1 2 3
日本の目標量は年齢・性別で違う
厚生労働省の食事摂取基準で、18歳以上の食物繊維の目標量は次の通りです。いずれも「1日あたり、これ以上」という値です。1
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 20g以上 | 18g以上 |
| 30〜49歳 | 22g以上 | 18g以上 |
| 50〜64歳 | 22g以上 | 18g以上 |
| 65〜74歳 | 21g以上 | 18g以上 |
| 75歳以上 | 20g以上 | 17g以上 |
たとえば30〜64歳の男性では22g以上です。「成人男性は20g」とひとまとめにすると、この年齢帯の値を取り違えます。妊娠中・授乳中の目標量は、ともに18g以上とされています。1
「25gより少なくていい」という意味ではない
日本の報告書も、健康上の利益を考えると、成人では少なくとも25g/日の摂取が望ましいと説明しています。ただし、策定時に参照した2018・2019年調査での日本の成人の摂取量中央値は13.3g/日で、25gをそのまま目標量にすると実行可能性が低いと判断しました。そこで中央値と25gの中間にあたる19.2gを出発点に、年齢・性別ごとの参考体重を用いて各目標量を算定しています。13.3gは当時の調査値で、現在の平均摂取量ではありません。2
別の調査である2024年の国民健康・栄養調査では、20歳以上の食物繊維摂取量は平均18.1g/日でした(全国補正値)。13.3gは2018・2019年の18歳以上の中央値です。調査年、対象年齢、平均値と中央値という統計量が異なるため、この二つの数字の差をそのまま摂取量の増加とは読めません。4
つまり、18gや22gは健康上の利益がそこで止まる境界線ではなく、現状から摂取量を増やすために設けた目標です。WHOの25gは、全粒穀物、野菜、果物、豆類などに自然に含まれる食物繊維についての推奨です。2 3
ここには数え方の違いもあります。日本の目標量の策定に使った食品成分表と、現在の食品成分表では、一部の食物繊維の測定方法が違います。厚労省の報告書は、新しい方法で計算した摂取量を古い目標量とそのまま同列に扱うことには注意が必要だとしています。アプリの「今日の食物繊維が何g」という表示も、用いている成分表を確かめずに1g単位の合否判定へ使わない方がよいでしょう。2
報告書に挙がる例では、炊いた精白米100gあたりの食物繊維は、食品成分表の七訂で0.3g、八訂で1.5gです。食品そのものが変わったという意味ではなく、測定方法が変わると、計算に含まれる食物繊維が増える場合があります。目標量と食事記録の値を比べるときは、数字の出し方にも目を向けたいところです。2
食事では何を変える?
厚労省のe-ヘルスネットは、まず主食の一部を麦ごはんや全粒粉パンなどに替え、豆類、野菜、果物などを日々の食事に取り入れる方法を挙げています。毎食を計量する前に、普段の食事のどこで食品由来の食物繊維を増やせるかを見るのが実践しやすいでしょう。5
同ページは、食事からまず1日あたりプラス3〜4gを目安に、無理のない範囲で増やすことも提案しています。毎日25gに届くかだけを見るのではなく、主食の1食を替えるなど、続けられる変更から考えられます。5
同じ「食物繊維○g」でも、通常の食品を食べる場合と、サプリメントでまとめて摂る場合の健康上の利益が同じとは確認されていません。日本の食事摂取基準も、その点を明記しています。数字を埋めるためだけに一つの商品へ頼る読み方は避けたいところです。2
日本の目標量は、今の食事を見直す出発点。WHOの25gは、食品から摂る量を考えるときのもう一つの指標です。どちらか一方を「正解」として選ぶより、年齢に合う目標量を確かめ、食事の中で無理なく増やせる食品を探すのが、この二つの数値に沿った使い方です。
この情報の読み方
この記事は個別の介入研究を格付けするものではなく、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」とWHOの2023年ガイドラインの数値・策定方法を解説します。両者は対象と算定の前提が異なります。
日本の食物繊維の目標量は成人で年齢・性別により1日17〜22g以上です。WHOは成人に食品に自然に含まれる食物繊維を1日25g以上推奨しています。
日本の目標量を満たせば健康効果が保証される、25g未満は危険、サプリメントで食品と同じ効果が得られるとは言えません。
この情報の限界
- 食事摂取基準の目標量は集団の生活習慣病予防を念頭に設定した値で、個人ごとの治療量や十分量を示すものではありません。
- 日本の策定に使った古い食品成分表と、現在の成分表では食物繊維の測定方法が異なります。食事記録アプリなどの値と報告書の目標量を、測定法を確かめず1g単位で比較できません。
- 持病や食事制限がある人の個別の食事方針は、この一般向け目安だけでは決められません。
参考資料
- 食事による栄養摂取量の基準 別表第六 食物繊維の食事摂取基準 ↗厚生労働省 · 2024
- 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書 炭水化物 ↗厚生労働省 · 2025
- WHO updates guidelines on fats and carbohydrates ↗World Health Organization · 2023
- 令和6年国民健康・栄養調査報告 第1部 栄養摂取状況調査の結果 ↗厚生労働省 · 2026
- 食物繊維の必要性と健康 ↗厚生労働省 e-ヘルスネット · 2026